味覚障害とは、通常とは異なる味の感じ方をする症状です。
味覚障害の症状には、2つのタイプがあり、「量的障害」という味の感覚が鈍くなる症状と、「質的障害」という味覚が変化してしまう症状があります。
味覚障害が発症した患者さんの多くは量的障害の方が多いです。
この症状では、食事をしても味が分からない、もしくは味が薄く感じたりする症状をいいます。
自分では気づきにくく、いつの間にか症状がかなり進んでいることも少なくありません。
質的障害が発症すると、味は感じられても、苦みや酸味ばかり感じて、甘みを感じることができなったり、何も食べていないのに変な味を感じたりします。
味を感じるには、舌の細胞の味蕾(みらい)で、甘味・塩味・酸味・苦味・旨味の情報を受け取り、脳に伝える必要があるのですが、以下の様々な原因でその伝達が上手くいかなくなることがあります。
年齢を重ねることで味蕾の数は減少していくため、味覚が鈍くなるといわれています。
ダイエットや生活の乱れから、味蕾の代謝の重要な役割である亜鉛が不足気味になることがあります。
嗅覚で感じられるにおいの情報は味を感じるために重要な役割を持っています。
その嗅覚が低下しているときは味覚障害が発症しやすくなります。
風邪や鼻炎により鼻が詰まっているときにも、味覚障害を発症する場合もあります。
舌苔とは、舌の上に残った食べかすや舌の古い細胞を栄養にして繁殖した細菌の白いかたまりです。
疲労や疾患によって分厚くなることで、味蕾まで味の刺激が届かなくなります。
貧血や消化器疾患、糖尿病、腎不全などで味覚障害が起きることがあります。
また、舌を動かしている神経や脳に障害がおきる病気(顔面神経麻痺や脳梗塞、脳出血など)で味覚障害が起きることもあります。
また、薬の副作用により味覚障害が発症する場合もあります。
診断により、上記のような原因を特定して、薬物療法と食事療法などそれぞれにあった治療を行います。
亜鉛の不足が原因であれば、亜鉛を含んだ薬を服用し、生活習慣の改善を促して症状を改善させます。
日頃から亜鉛を多く含む、カキや牛肉、豚レバー、卵、納豆、海藻などを食べるようにしましょう。
さらに亜鉛の働きをよくするために、ビタミンCや動物性タンパク質をとるように心がけましょう。